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人工関節現場レポート

人工関節の現場から~ 整形外科の先生に伺いました

慶應義塾大学病院 整形外科医師
船山敦先生


慶應義塾大学医学部卒。整形外科専門医、医学博士。
慶應義塾大学 整形外科スタッフ。

整形外科には、股関節に何らかの症状を持っている患者さんが多く受診に訪れます。整形外科の先生に、股関節の痛みの原因となる病気やその治療法などについてお話を伺いました。


インタビュー関節の痛みに対する治療や手術、ケアなどについて教えてください。

治療にかかせない、本人の理解と努力

医師は、患者さん一人ひとりの痛みの程度や原因に応じ、治療を行います。子供や20歳以前の若い方では、痛みがないこともありますので、レントゲンを定期的に撮影し、今後起こる可能性・危険性のある変形性関節症についての説明がなされることがあります。

また、股関節症が進行した方で人工関節手術を受けられる方は、人工関節の適応、手術方法、リハビリテーション、長期成績など、医師から説明される内容を十分に理解し、納得したうえで受診される方が良いでしょう。

手術においては、医師が最善を尽くして行うべきものですが、手術後は患者さんの努力によるリハビリテーションが欠かせません。そのためにも、本人およびご家族への『インフォームドコンセント』が重要です。手術の成績は、患者さん本人の力によるところが大きいのです。

インタビュー人工関節手術前の患者さんが知っておくべき知識などはありますか?

しっかりリハビリテーションをして、制限の少ない日常生活へ

手術後のリハビリテーションと実際の生活についてですが、手術後は、リハビリテーションの担当医師や理学療法士が指導してくれます。自宅へ戻ってからは、個人差はありますが、日常生活の制限もほとんどなく生活できる場合も多いようです。ゴルフや水泳、旅行など手術前にはあきらめていたことができるようになる方もいらっしゃいます。

病院によっては、多くの日常生活動作を制限するところもありますが、最近のリハビリテーションや、最小侵襲手術(さいしょうしんしゅうしゅじゅつ=MIS)などの手術技術の進歩によって、術後の日常生活動作の自由度は高くなっています。また、人工股関節の手術後の患者さんに正座、歩行、入浴、自転車などの生活動作の制限をしない病院もあります。

インタビュー患者が医師と接する際、重要なこととは?

医師との「信頼関係」を築くこと

お互いに信頼し合えることは、患者と医師との関係に限らず、一般的な人との関わりやビジネスにおいても重要なことです。対人間の関係性ですから、お互いに誤解などがなくコミュニケーションを取り合えなければ、信頼は生まれないでしょう。

もし、医師が説明する内容が良く理解できなかったり、疑問があったりした場合は、患者さん自身が納得いくまで説明をしてもらうことです。その医師からの説明に対してどうしても疑問や不安が残るのであれば、別の医師にも診てもらうなど、第三者の意見を聞くことも大切です。また、患者さん自身も冷静に判断することや理解できるよう努力することも必要です。そうすれば、信頼できる医師と出会うことができるでしょう。

インタビュー海外と比べて、日本の整形外科(人工関節)の技術レベルは?

世界的に最高レベルの日本の医療

アメリカ、フランス、ドイツ、イタリアなど「整形外科の先進諸国」と言われる欧米の医療と比べて、日本の医療も遜色がないレベルです。

例えば、骨盤骨切り術(こつばんこつきりじゅつ)では、日本の先生が考案された方法もありますし、人工股関節置換術では、近年開発された最小侵襲手術も、多くの先生方が手術を実践されています。

また、ITの進歩により、医学情報がすぐに共有できるようになったことで、世界中で技術が進歩し、統一化が図れるようになってきました。

インタビュー日本と海外(アメリカ)では、人工関節について何か違いがありますか?

日本人に合わせてつくられた人工関節

アメリカでの人工関節置換術は、年間で日本の約10倍行われています。日本の場合は、臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)に伴う変形性股関節症が多く、欧米では原因不明な一次性股関節症が多い傾向にあります。

日本では、若年者には骨を温存する手術が多く行われ、40歳以上の方から人工関節手術を実施する傾向にありますが、海外では若年者から積極的に人工関節手術を行うことが多く見られます。

手術で使用する人工関節(インプラント)は、国内のメーカーで開発・製造されているものもありますが、アメリカを中心とした欧米の会社で開発・製造され、日本に輸入されるものが多くあります。海外メーカーで開発・製造したものでも、欧米人と日本人では体格や骨の形状が異なっていることが多いため、日本人向けに考案されたインプラントがつくられ、輸入されています。

インタビュー人工関節に関する技術において近年の変化・進化はありますか?

耐久性に優れた人工関節素材の研究・開発

近年、耐久性を重視した材料の改良が盛んで、各人工関節メーカーが医療機関などと協力して、より長期使用に耐える人工関節の関節面の材料の開発を進めており、長期成績を伸ばす研究が行われています。今後も研究が進み、一度手術すれば一生長持ちする材料が開発されることが期待されています。

インタビュー最後に、痛みや病気に悩んでいる方々にメッセージをお願いします。

関節の痛みは、あきらめず、我慢せずに、
早いうちに専門医に診てもらうことが大切です!


※治療内容や効果は個人によって異なります。患者さんの個々の症状にあわせた治療法については、担当の先生と十分に相談・確認して決定されることをお勧めします。