再生医療現場レポート
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これまでの治療とAPS療法の違いは何でしょうか?
ヒアルロン酸注射
変形性関節症になると、関節内の衝撃を吸収する働きをしている軟骨がすり減り、炎症や痛み、腫れなどが生じます。変形性関節症に対するこれまでの治療法は、軽い症状の場合は、痛み止め服用や運動療法、ヒアルロン酸などの関節内注射といった保存療法、症状が進行してくると人工関節置換術などの手術方法の2つしかありませんでした。APS療法は、手術のような大きな侵襲がなく、炎症や軟骨のすり減りを抑制することが考えられ、この保存療法と手術をつなぐ第3の治療法として期待されています。
APS療法を受けたほうが良いタイミングはありますか?例えば、変形性関節症の中でも患者数の多い、変形性膝関節症の変形の進行度合いは、初期、中期、末期と膝軟骨のすり減りや骨の変形が進んでいきます。APS療法を考えるタイミングは、変形性膝関節症の手術以外の治療である、減量や運動療法、ヒアルロン酸の関節内注射など保存療法を色々試したけど満足いく効果がなかった方や、まだ変形の進行度合いが末期までいっていない程度の場合は治療を検討しても良いと思います。
しかし、現在、治療を受ける方の変形の進行度合いなどは人それぞれです。例えば、既に膝の変形が末期まで進み痛みがある場合、人工関節の手術を勧めることが多いのです。しかし、その中には重篤な合併症があり手術ができない方や、手術に対する抵抗が大きい方がAPS療法を希望されることもあり、両方の膝が悪い場合、両膝同時にAPSの治療を行うこともあります。
また膝の痛みの原因が半月板の損傷などの場合、APS療法のみでは症状が改善しない場合もあります。そういうケースでは関節鏡手術を最初に行い、その後にAPS療法を行うこともあり、治療をいつ始めるかは人によってまちまちです。変形性膝関節症5段階
APS療法の治療効果は?日本国内では2018年に使用開始となりましたが、まだまだ長期的なデータが発表されていません。ですが日本よりも先に治療が始まった欧州では、2年以上膝の痛みをコントロールすることができているといった報告も上がっており、長期的に痛みをコントロールしていくことが可能になるのではないかと期待しています。
治療効果が現れるのは、早い方では2~3週間くらいから少しずつ現れたという報告もありますが、3ケ月~6ケ月後くらいに現れてくるケースが多いようです。関節症の進行度合いにも個人差があるため、APS療法を行った直後に楽になるわけではなく、徐々に効果が出てきたり、レントゲン撮影によって関節の隙間が解消していたりするケースもあります。しかし治療効果には個人差があり、必ずしも誰にでも効果が現れるというわけではありません。
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