再生医療現場レポート
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CHAPTER 01変形性膝関節症で痛みの緩和が期待できるAPS療法とは
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CHAPTER 02ご自身の血液を用い治療する、再生医療APS
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CHAPTER 03自分でしっかり歩ける足を保ち、活動量を低下させないことが重要
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加齢に伴う膝の痛みとして代表的な変形性膝関節症。ヒアルロン酸注射などの保存療法を続けているものの痛みが改善せず、それでも手術には抵抗があるという患者さんは少なくありません。そうした人を中心に、近年新たな治療の選択肢として注目されるのがAPS(自己タンパク質溶液)療法です。具体的にどんな治療法で、どのような効果が期待できるのか、東戸塚記念病院 院長の山崎先生にお話を伺いました。
変形性膝関節症とはどのような病気ですか?変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)は、長期にわたって膝を使うことによって、少しずつ関節軟骨がすり減り、骨が変形していく病気です。軟骨が摩耗することで関節内にはデブリスという小さな軟骨片が生じ、それが原因となって痛みや炎症が起きたり、水が溜まったりします。変形性膝関節症には、一次性のものと二次性のものがあります。一次性は明らかな原因はなく、加齢や肥満、O脚や扁平足(へんぺいそく)などに関連して発症するといわれています。二次性のものの原因はさまざまですが、スポーツによる靭帯(じんたい)や半月板(はんげつばん)の損傷、骨折など、外傷に基づくものが大半を占めます。また、リウマチや痛風(つうふう)などの炎症性の疾患が原因になるケースもしばしばあります。日本では、一次性の変形性関節症が約9割を占めています。膝の痛みが強いと、日常生活動作に支障が出るようになり、活動量が減っていきます。日本人には我慢強い人が多いですが、痛みが2週間以上など続く、または繰り返し痛くなるといったときには一度専門医に相談した方がよいでしょう。
変形性膝関節症の治療について教えてください。人工膝関節置換術の流れ
すり減った軟骨を元に戻すことはできず、基本的には「痛みを改善する」ことを目的にした治療になります。膝関節にかかる負荷を和らげるため、太ももの大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を鍛える筋力トレーニングや、膝の筋肉が固くなった状態を防ぐ可動域訓練などがまず大切です。痛み止めも併せて服用します。痛みがあるから運動できない、運動できないから筋力が弱くなる、筋力が弱いから余計に膝関節に負担がかかるといった悪循環を断っていくことを目指します。しかし、保存療法を十分に行っても痛みが改善しない場合は、人工膝関節置換術などの手術を考えることになります。ただ、まだ手術に踏み切るには抵抗がある、事情があって今は受けられないという人も少なくなく、保存療法と手術療法の間をつなぐものとして最近注目されているのが再生医療です。患者さんご自身の血液を使ったAPS療法もその一例です。
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