再生医療現場レポート
変形性膝関節症に期待される再生医療
専門医に相談し十分納得した治療選択を
ドクタープロフィール
福井医科大学医学部卒業。福井大学医学部整形外科講師を経て、2004年大森整形外科リウマチ科を開設
資格:日本専門医機構整形外科専門医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本抗加齢(アンチエイジング)医学会専門医、日本リハビリテーション医学会認定臨床医、日本スポーツ協会スポーツドクター、日本医師会認定健康スポーツ医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本医師会認定産業医、日本リウマチ財団リウマチ登録医、日本骨粗鬆症学会認定医
エリア
福井県
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APS療法は、どのようなタイミングで受けたほうがよいでしょうか?
保存療法を半年~1年ほど治療を続けても症状が改善しない場合や、手術をするにはまだ年齢的に早い方や、高齢で基礎疾患を持っているため手術のリスクが高い場合、仕事などの都合で入院が難しい場合に、手術に代わる新たな選択肢として検討する価値があるといえます。ただし、どのような場合でも、ご自身が納得いくまで説明を受けてから治療を受けていただきたいと思います。
治療はどのようなプロセスで行いますか。治療前に血液検査を行い、血液中の成分や感染症にかかっていないかなどを確認します。リウマチなど全身性の炎症性疾患がある場合、治療効果が期待しにくいといわれているため、リウマチの抗体を持っているかどうかも血液検査で確認します。ただ、そのような場合でも、ご本人が希望されれば治療することは可能です。
APS療法当日は、患者さんから採血(さいけつ)し、その血液を遠心分離加工したものを膝に注射器で注入すれば治療は終了です。採血から注入までわずか1時間ほどで終わりますから、もちろん入院の必要はありません。患者さんにとっては比較的手軽で負担の軽い治療といえます。
一般的な関節注射と同じく、関節液が漏れる、関節の痛み、こわばり、腫れ、不安定な感じがすることがありますが、患者さん自身の血液を注入するので、薬のようなアレルギー反応が起きる心配が少ないこともメリットです。治療後に腫れや痛みが出る場合が多いのですが、ほとんどは数日で治まります。日常生活はすぐ再開でき、痛みがなければウオーキングなどの軽い運動も行えます。ただし、痛みや腫れが出た場合、無理は禁物です。APS療法の流れ
PRP療法、APS療法を受ける前に、知っておいたほうが良いことはありますか。手術のように傷んでいる部分を取り除く治療ではない、ということをしっかり理解しておいていただきたいと思います。痛みや進行を抑えることはできても、将来的に症状が進めば、根本的な治療として、やはり手術を検討することになります。
また、効果については個人差が大きい治療です。症状が改善しない可能性もあるので、その場合、やはり手術を検討するのか、もう一度再生医療にチャレンジするのか、もしくはリハビリにしっかり取り組んで保存療法を見直すのか……。といった「次なる手」を、治療を決定する前に、医師とともに事前にシミュレーションしておくことは重要です。
また、PRP療法、APS療法ともに自由診療のため、治療費は全額自己負担となります。費用は医療機関により異なりますが、高額な治療になるので、ご自身が納得いくまで説明を受けてから治療を受けていただきたいと思います。
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