再生医療現場レポート
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APS療法を受けた後、どのくらいで効果があらわれますか?
APS療法はご自身の血液を使った治療のため、効果や持続期間には個人差があります。早い人だと、施術後2週間くらいで少しずつ効果を実感することがあるようですが、日本でのAPS療法は2018年に始まったばかりなので長期データがでてくるのはこれから先になります。APS療法には、傷んだところを切除し、人工物に置換して痛みを取る人工膝関節置換術のような即効性はないものの、ご自身の関節を温存したまま痛みが和らぐ可能性に期待を寄せる患者さんは、増えつつある印象があります。
APS療法を受けた後、注意することはありますか?施術を受けた当日は入浴を避け、施術後1週間くらいは、運動は控えたほうが良いでしょう。それ以外は、これまでの生活を続けていただいて問題ありません。患者さん自身の血液を使いますので比較的安全性が高く、副作用のリスクも低いと言われています。ただし、中には、施術後に患部に熱を持ったり、痛みが出たりすることがあります。これは、炎症のバランスが調整される過程で起こる現象で数日経つとおさまるのが通常です。それまでは膝に負担をかけないよう安静にしておきましょう。
また施術後の注意点として、これまでにお使いの鎮痛薬がある方は主治医にあらかじめ相談されることをお勧めします。鎮痛薬の中にはAPS療法の効果を弱めてしまうものもあります。その場合は、主治医に相談し相性の良いものを処方してもらうことが大切です。変形性膝関節症は、残念なことに進行性の疾患です。痛みが落ち着いていても関節内では病状が進行している場合があります。APS療法を受けた後に限らず、整形外科を定期的に受診して、膝周りの筋肉や骨の状態を確認することで適切な治療のタイミングを逃さないように心がけていただきたいと思います。膝の痛みに悩んでいる方にメッセージをお願いいたします手術を勧められていても、鎮痛薬やヒアルロン酸注射でなんとか痛みががまんできるからと、様子を見続けている患者さんは多いと思います。それは、APS療法のような、これまでにない新しい治療法があることをご存知ない方も多いからだと思います。APS療法だけでなく、従来の保存療法や人工膝関節置換術、骨切り術などの手術療法も含めて、多くの治療選択肢が提供できる医療施設を選び、定期的に受診すれば、ご自身にとって適切な治療を適切なタイミングを逃さずに受けられる可能性も高くなると思います。痛みをがまんしすぎないようにするために、APS療法のような新しい治療に対する正しい知識も備えていただきたいと思います。
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