肘は骨折の部位によって症状や治療法などが異なります。
上腕骨顆上骨折(じょうわんこつかじょうこっせつ)
激しい運動で転倒したり、高い所から転落して手をついた時に、肘まで衝撃が伝わって骨折が起こります。この上腕骨顆上骨折は小児に多く見られる骨折のひとつです。軽傷の場合は、ギプス固定やベッドに寝かせて腕を吊り上げる牽引療法を行います。神経が麻痺したり血管が傷つくなどの合併症も起こりやすく、早急に手術が必要になる場合もあります。また、骨折した部分によっては骨が正常に癒合せず、肘から内側に弯曲(わんきょく)する内反肘が残ることがあります。
上腕骨外顆骨折(じょうわんこつがいかこっせつ)
肘の外側の骨折です。上腕骨顆上骨折に次いで小児に多く、肘の関節の外側に強い外力がかかったり、肘が内側にひねられることにより骨折が起こります。骨折部分のずれ(転位)がなければギプスなどで固定しますが、ずれが大きい場合は手術が選択されます。
上腕骨内側上顆骨折(じょうわんこつないそくじょうかこっせつ)
上腕骨の内側上顆の骨折です。18歳くらいまでの年齢に多く、スポーツ中に肘を伸ばした状態で倒れた時に、肘が外側にひねられることにより骨折が起きます。骨折によって尺骨神経麻痺や内側の靭帯を傷つける内側側副靭帯損傷(ないそくそくふくじんたいそんしょう)などを引き起こす場合があり、手術による治療が必要になる場合もあります。
肘頭骨折(ちゅうとうこっせつ)
肘頭は肘の先端部分、いわゆる「肘鉄(ひじてつ)」の部分で、曲げた状態の肘から地面に着地するなどして肘を強打した時に起こりやすく、成人に多く見られます。患部が腫れ、強い痛みを伴うため肘を動かすことができなくなります。衝撃の大きさによっては粉砕骨折を起こすこともあります。骨折部分のずれ(転位)がなければギプスなどで固定しますが、ずれが大きい場合は手術が選択されます。
橈骨頭骨折(とうこつとうこっせつ)
橈骨頚部と呼ばれる部分の骨折です。肘を伸ばした状態で倒れた時に、肘が外側にひねられることにより骨折が起きます。成人では橈骨頭骨折が多く見られますが、小児の場合は橈骨頚部骨折が多く起こります。症状としては、前腕骨2本のうち、片方のみが骨折しているため、上腕骨顆上骨折よりも軽症と考えられていますが、3歳までは単純レントゲンで発見できない場合があるため注意が必要です。
上腕骨遠位部粉砕骨折(じょうわんこつえんいぶふんさいこっせつ)
(上腕骨)から遠い部分が粉砕骨折(ひとつの骨に複数の骨折線と骨折片ができる)を起こすことです。交通事故や高い所からの落下など、大きな外力が加わって起こる骨折です。幅広い年代に見られ、骨粗しょう症の高齢女性はささいな転倒などでも起こりうるため十分注意が必要です。
骨折の治療一覧
保存的療法
運動療法:ストレッチ、水中運動など
温熱療法:ホットパック、温湿布、電気・超音波器具など
薬物療法:消炎鎮痛薬 など
装具療法:サポーター、装具(ギプス固定)など
手術的療法
人工肘関節置換術、ワイヤー固定、プレート固定 など