再生医療現場レポート
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CHAPTER 01整形外科で受けられる再生医療。PRP療法、APS療法とは
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CHAPTER 02良い状態を維持するためには運動習慣が肝心
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CHAPTER 03変形性膝関節症への除痛効果が期待されるAPS療法
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どのような患者さんがAPS療法の適応だと思われますか?
現在のところ、きちんとした適応は確立されていませんが、「リハビリや薬物療法、ヒアルロン酸注射といった保存的な治療を受けたがあまり効果が得られなかった人」「レントゲン所見ではそれほど進行していないのに痛みが強い人」や、「手術は避けたい」と考えている人は、APS療法を選択肢の一つとして考えてみる意義があると思います。ただし、APS療法はリハビリとセットだと考えてください。APS療法によって痛みを抑え、その間にリハビリで筋力を鍛えて膝関節の環境を整えることができれば、その後も良い状態を維持することは十分に可能だと思います。
一方で、変形の強いO脚やX脚の人、骨が変化している人などにはあまり効果がないといわれています。ところが、超高齢で深刻な変形性膝関節症の患者さんで、手術も難しいような状態の人にAPS療法を行ったところ、痛みが軽減し、介助なしでトイレに行けるようになったという例も見られます。除痛効果に限っていえば、変形の強い人、骨に変化のある人に対しても、APS療法は適応可能なのではないかと感じています。APS療法の治療の流れを教えてください治療の流れ
血小板の作用を弱めることがあるため、治療の前後約1週間は消炎鎮痛剤の使用を控えてもらいます。治療当日は、体調をチェックし、問題がなければ静脈血を約55ml採取。それを特殊なキットに入れて遠心分離器にかけ、まずはPRPを抽出します。そのPRPを別の特殊なキットに入れてさらに遠心分離器にかけ、抽出されたAPSを患者さんの膝関節内に注射します。治療は1回の注射のみで、かかる時間もトータルで1時間程度ですから、患者さんにとっては非常に負担の少ない治療法だといえるでしょう。
投与後の変化と留意点を教えてください投与後、数日から1週間は炎症による熱感や腫れ、痛みが出る場合もありますが、これは治療効果が出る過程で起こる炎症です。このような症状がある場合、炎症を抑える鎮痛剤など服用している薬の種類によっては使用を控える必要がありますので、担当医に相談し適切な薬を処方してもらいましょう。
個人差はありますが、早い人では3日目くらいから効果を実感する人もいるようです。ただし、痛みが軽減したからといって急に活動性を上げるのは禁物です。1週間~2週間は慣らし運転と考え、活動は抑えるようにしてください。
治療後も良い状態を維持するためには、リハビリや散歩といった運動習慣を身につけることが非常に重要です。また、膝関節に余分な負担をかけないためにも、適切な体重コントロールを心がけましょう。
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