再生医療現場レポート
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CHAPTER 01整形外科で受けられる再生医療。PRP療法、APS療法とは
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CHAPTER 02良い状態を維持するためには運動習慣が肝心
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CHAPTER 03変形性膝関節症への除痛効果が期待されるAPS療法
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PRP療法やAPS療法は安全なのでしょうか?
2014年からは、他の再生医療と同様にPRP療法も厚生労働省が定める再生医療法(再生医療等の安全性の確保等に関する法律)のもとで行わなければならなくなりました。そのため現在では、PRP療法、APS療法ともに厚生労働省への届出が必要です。
さらに、血液からPRPやAPSを抽出する際のキットや、それを調整する施設にも厳しい安全基準が設けられており、施術の手順も細かく決められています。それらの厳しい条件をクリアし、認可を受けた医療施設のみでPRP療法やAPS療法は行われていますので、安全の確保は進んでいるといっていいでしょう。
また、PRP療法、APS療法ともに患者さん自身の血液を使った治療法ですから、拒絶反応やアレルギー、副作用の心配はほとんどなく、安全性の高い再生医療だといえます。※厚生労働省「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」概要資料をもとに関節ライフが作成
保険は適用されますか?また知っておいたほうが良いことはありますか?PRP療法やAPS療法は、保険適用されず基本的に自由診療です。そのため費用は全額自己負担となります。それぞれの費用については施設によって異なりますので、実施されている医療機関でご確認ください。
治療を検討されている方に知っておいて頂きたいこととして、PRP療法やAPS療法は、若い頃の状態に戻るというような魔法の治療ではありません。また効果に関しても個人差があり、効果があった場合でもいつまで続くか今のところはっきりしていません。そのため結果的に手術の方が適切だと判断するケースも考えられます。ただし繰り返し治療することも可能なので、効果が切れた後にもう一度治療するという選択肢が出てくるかもしれません。
さらに治療を受けたらそれで終わりではなく、リハビリを継続していかなければ本当の意味での改善にはつながりません。安価な治療ではありませんので、そういった治療に関しての知識や理解を持った上で臨んでいただきたいですね。
APS療法に興味をお持ちの変形性膝関節症の方にアドバイスをお願いしますまだ国内での長期データはありませんが、APS療法は痛みを抑える効果の高い治療法だと期待しています。膝関節への治療は、基本的には片膝ずつ治療を行うのですが、すぐに「もう片膝も治療したい」という人や、お友達などの効果を見てご自身も治療を受けられるといったケースも多く、患者さんの満足度は高いようです。ただし、いきなりAPS療法ではなく、まずは筋力トレーニングやヒアルロン酸注射などの保存療法をしっかり行ってください。
膝が痛くても「歳のせいだから」とあきらめている人が多いのが現状ですが、APS療法や人工関節手術などを含め、医療が介入することで再び元気に歩けるようになったり、QOL(生活の質)が向上している例はたくさんあります。支障なく歩けるようになると、みなさん見違えるように前向きになられ、健康寿命も延びていくと思います。
我々整形外科医は、患者さんが「よりよく生きる」ためのお手伝いができると思っています。悩んでいることや不安なことがあれば、決してあきらめず、膝の専門医にご相談ください。
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