再生医療現場レポート
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APS療法は整形外科であればどこでも受けられますか?
APS療法は、再生医療等安全性確保法のもと厚生労働省の承認を受けた医療機関だけが実施できる治療法で、施設や設備について定められた安全確保の基準をクリアしていることが条件になります。ですので、整形外科であればどこでも受けられるわけではなく、事前に確認が必要です。言い換えれば、APS療法を提供している以上、どの医療機関であっても国によって一定基準の安全性が担保されているということであり、患者さんの安心材料になるのではないでしょうか。
治療後の注意点があれば教えてください。治療当日やその後の数日間は、腫れたり、痛んだりすることがあります。特に血流が良くなると痛みが強く出ることがありますので、数日間は運動を控えるようにしてください。
腫れや痛みが気になる場合は、冷やしたり安静にしてやり過ごせればよいですが、つらければAPS療法を受けた医療機関で処方してもらった痛み止めを飲むようにします。一般的な痛み止めは血小板が凝集するのを抑制する働きがあり、治療の効果を妨げる可能性があります。その後の日常生活で気をつけることはありますか?水中歩行
APS療法を受けて痛みが軽くなったからといって、急に活動性を上げて膝に負担をかけてしまうと、長期的には逆効果といえます。減量や筋力トレーニングなど、変形性膝関節症の患者さんが一般的に心がけることを、APS療法後も継続して行いましょう。プールでの水中歩行や自転車こぎは、膝に負担をかけずにカロリーを消費し、筋力を高められる運動として特におすすめです。減量のために強度の高いウォーキングやジョギングを始める人もいますが、長続きしにくい上、軟骨のすり減りを進めかねません。変形性膝関節症を今以上に進行させないという点をいつも意識してください。
膝関節の痛みに悩む人へのメッセージをお願いします。変形性膝関節症の治療を決めるのは、あくまで痛みの強さやそれにより患者さんがどのくらい生活で困っているかです。APS療法で効果が得られて日常生活に支障がなくなり、手術が不要になる患者さんもいます。しかし、APS療法はまだ十分な治療のエビデンスが確立されておらず、過度な期待は禁物です。APS療法では思うような結果が得られなかったときのために、次の選択肢として人工関節などの手術の説明を併せて受けるケースも多いと思います。
変形性膝関節症は加齢に伴って進行し、どうしても長い付き合いになる病気です。APS療法のような再生医療だけでなく、保存療法から手術まで治療選択肢はさまざまありますので、そのときの膝の状態やご自身のライフステージに合わせて適切なものを選んでいくことが大切です。幅広い治療法を提供できる医療機関や、信頼できる医師を見つけ、ご自身で納得できる方法で治療を進めてください。
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