再生医療現場レポート
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CHAPTER 01変形性膝関節症のさまざまな治療法
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CHAPTER 02軟骨を再生するのではなく、炎症にはたらきかけるAPS療法
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CHAPTER 03自分の症状にあった適切な治療選択を行いましょう
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APS療法の後、どのくらいから効果が出ますか?
個人差がありますが、早いと治療後1週間ほどで効果を感じる人もいます。一般的には1カ月後くらいから感じられるようになることが多いですね。半年を過ぎたあたりから効果が高まっていくようです。いずれにせよ、ある日を境に劇的に変化するというよりは、これまで制限されていてできなかった動作ができるようになるなど、ゆっくりと改善していくイメージです。投与により治療後、数日~1週間程度で患部が腫れたり熱をもったりすることがあります。その間は安静にして活動レベルを最小限に抑えてください。治療後2週間を過ぎれば、これまで行っていたスポーツを、少しずつ再開していって構いません。プールや温泉などの入浴制限もありません。しかし繰り返しになりますが、誰にでも効果がある治療法ではありません。症状の改善が見られない場合は次の治療を考えていくことになります。
APS療法にどのような期待をされますか?APS療法は新しい治療法ですが、手術のような大きな切開がなく低侵襲(ていしんしゅう)であること、副作用が少ないことなどのメリットがある一方で、自由診療で全額自己負担になる、効果には個人差があるなど治療を進めにくい部分もあるのも現状です。しかし、手術に移行する前段階で、保存療法では効果を感じづらい患者さんに、第3の選択肢として検討できるという点では、より多くの患者さんの治療選択肢が広がり、治療を進めやすい環境になったと感じています。特にAPS療法にリハビリを併用することで、大きく症状が改善されたケースもありますから、より効果を維持・向上させる期待をしています。
現在、膝の痛みに悩んでいる方にメッセージをお願いいたします忙しくて、湿布や民間療法で痛みをがまんされている人もいらっしゃいますが、5年10年とそれで過ごすよりも、適切なタイミングで適切な治療を受けることがきちんと効果を出すためには大切なことです。現在では幅広く治療選択肢が増えていますので、痛みにお悩みの場合は整形外科に相談されることをお勧めします。グレード2くらいだと、レントゲンの画像上で見ても軟骨の摩耗がほとんど確認できないことがあります。そういうときは、半月板の逸脱(いつだつ)で痛みが生じている可能性があり、リハビリで改善が期待できることもあります。APS療法を希望される人は多いのですが、実際に適用する患者さんは、グレード2や3でもかなり絞っています。というのも、保存療法をしっかりやっていくと、それだけで改善されるケースが少なくないのです。まずは、医師や理学療法士の指導のもと保存療法を続けてみてください。また保存療法を続けても改善がみられない場合に、APS療法や手術といった選択肢があるということを知っておいていただきたいと思います。
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