再生医療現場レポート
ご自身の血液を使うAPS療法
治りにくい痛みの新たな治療として期待されています
ドクタープロフィール
所属学会:日本整形外科学会、日本関節鏡膝スポーツ整形外科学会(JOSKAS)、日本整形外科スポーツ医学会、日本臨床スポーツ医学会、日本肩関節学会、中部日本整形外科・災害外科学会(評議員)、膝関節フォーラム(世話人)、京都整形外科懇話会(世話人)、International
Cartilage Repair Society
資格・認定医:日本整形外科学会認定
整形外科専門医、日本スポーツ協会認定 スポーツドクター、The
American Journal of Sports MedicineのPrincipal Reviewer、The
Orthopaedic Journal of Sports Medicine のEditorial Board
エリア
京都府
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CHAPTER 01変形性膝関節症の治療、PRP療法とAPS療法
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CHAPTER 02APS療法前に知っておいて欲しいことと治療のタイミング
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CHAPTER 03APS療法を複数回受けることで期待される効果や治療後の注意点
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APS療法を複数回行っても良いのでしょうか?
APS療法を受けた半分くらいの方が1ケ月目の診察時に、ちょっと楽になってきましたとおっしゃられることがあります。残りの半分くらいの方の中には、3ケ月後の診察時に楽になったとおっしゃることもありますが、3ケ月を過ぎると、その後急激に良くなったという方は少ないと思います。10あった痛みが3とか4になったと感じた方が、もう一度受けることを希望され、痛みが更に半分くらいに軽減したということもあります。APSは、治療を行う時の体調に左右されるので、今日のものが半年後のものと同じというわけではありません。理論的には、1回目に効果がなくても2回目に効果が表れるということはあると思います。そのため、初回のAPS療法では効果がみられなかった方が半年後にもう一度治療を希望されたり、左右の膝が痛い方が半年ごとに2回APS療法を受けたりすることもあります。
APS療法後に注意することはありますか?消炎鎮痛剤はAPSの効果を弱めるので、一般的には消炎鎮痛剤の使用は治療1週間前から控えていただきます。治療前だけでなく治療後も、風邪を引いてしまった場合などは、消炎鎮痛剤ではなくアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤を使用し対処ください。治療後、1週間程度は安静にしていただき、2週間は激しい運動は控えるようにしてください。
APS療法後も筋力トレーニングを続けたほうが良いのでしょうか?変形性膝関節症に対して、運動療法を行うことは有効であると言うエビデンスがあり、また適度な運動は関節軟骨に良い影響を及ぼすということが知られています。膝に高負荷な運動は控えていただき、低負荷で身体にやさしい運動は積極的に行ってもらいたいと思います。APS療法を受け1~2週間すれば、適度な運動や30~40分(4,000~6,000歩)程度のウォーキング、水中歩行などが効果的です。特に太ももの筋肉を鍛えるトレーニングは有効です。しかし、自己流で行うと、かえって膝を傷めてしまうことがあります。できれば週に1回くらい、理学療法士などの専門家にチェックしてもらい、ハーフスクワットやクォータースクワットなど、膝を深く折らない方法で行うスクワットが推奨されています。通院してのリハビリのように医療保険を利用するだけでなく、主治医が必要と判断したら、介護保険を使ってリハビリを行うこともできます。主治医に相談し、ご自身にあったリハビリを続けてください。リハビリを続けることで、将来、人工関節の手術をせずにすむ可能性が出てくるかもしれません。
膝の痛みに悩んでいたり、治療を迷っていたりする方へメッセージをお願いいたします膝の痛みに悩んでいる方は大勢おられると思います。しかし、病院に行くことに対して、敷居が高い、怖い、すぐに手術を勧められると思われている方もおられると思います。まずは、整形外科を受診し、痛みの原因は何なのかをきちんと評価してもらうことが大切です。特殊な治療を行わなくても良い場合もあり、従来の治療をしても痛みや症状が改善しないようであれば、これまでにはなかった再生医療が大きな選択肢となってきています。ご自身のことをしっかり相談できる医師をつくって欲しいと思います。
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