再生医療現場レポート
保存療法では効果がない、手術は受けたくない
変形性膝関節症の第3の治療として
APS療法が期待されています
ドクタープロフィール
日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医、指導医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本骨折治療学会評議員、Japanese Association for Biological Osteosynthesis:JABO 世話人、日本CAOS(Computer Assisted Orthopaedic Surgery:コンピュータ支援整形外科)研究会世話人 北九州外傷研究会代表世話人
エリア
福岡県
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整形外科分野において、変形性膝関節症の治療としてPRP療法やAPS療法など「第3の治療法」と言われる再生医療が広がっています。APS療法は変形性関節症に対して行われる「自分の細胞を使った治療」として期待されています。その詳細について、北九州総合病院 副院長である福田文雄先生にお話をお伺いしました。
「変形性膝関節症」とはどういう病気ですか?変形性膝関節症は、加齢とともに関節の軟骨が変性する、いわゆる「老化」が主な原因です。日本には2500万人いると言われており、男女比は1:4と圧倒的に女性に多く、高齢女性のおよそ8割がこの疾患にかかっていると考えられています。進行度合いは、グレードⅠ~Ⅳまでに分けることができ、グレードⅠは、膝の関節裂隙(れつげき)(隙間)が少し狭くなっている状態、Ⅱ~Ⅲは、明らかに狭くなっている状態、Ⅳに至っては隙間が消えてしまって骨まで削れている状態を表します。
KL分類
「変形性膝関節症」にはどのような治療が行われますか?主な治療法として、グレードⅠでは減量や筋力トレーニングなどの運動療法、Ⅱ~Ⅲは鎮痛剤やヒアルロン酸注射などの薬物療法が行われています。痛みを抑えるために、鎮痛剤などは確かに効果がありますが、副作用もあるので長期間の使用は推奨されていません。また、ヒアルロン酸の関節内注射は、アメリカの整形外科学会では推奨されていませんが、重篤な副作用はないもののその方の状態によっては効果を実感できないことがあります。グレードⅢ~Ⅳのように、膝関節の変形が進行して関節裂隙がなくなり、痛みがひどくなると、これまでは手術が検討されていました。しかし、手術を受ける前の新たな治療選択肢として「PRP療法」や「APS療法」が期待されています。
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