再生医療現場レポート
保存療法では効果がない、手術は受けたくない
変形性膝関節症の第3の治療として
APS療法が期待されています
ドクタープロフィール
日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医、指導医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本骨折治療学会評議員、Japanese Association for Biological Osteosynthesis:JABO 世話人、日本CAOS(Computer Assisted Orthopaedic Surgery:コンピュータ支援整形外科)研究会世話人 北九州外傷研究会代表世話人
エリア
福岡県
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APS療法を選択する前に注意することはありますか?
APS 療法は「再生医療」と呼ばれていることもあり、「組織が再生する治療」と思われるかもしれませんが、そのようなことはありません。また、治療効果や効果の持続期間については、ご自分の血液を使用するためにその時の年齢や体調等の条件によって治療効果が変わってくることがあります。APS療法を受けた方の中には「ほとんど効果を感じなかった」という方がおられ、約3割の方は投与前と比べ症状が変わらなかったというデータがあります。
費用は健康保険が適用されない自由診療となり、非常に大切なポイントとして、「APSは魔法の薬ではない」ということをしっかり納得したうえで、治療を受けるかどうかを選択していただきたいと思います。APS療法後、日常生活での注意点などをお教えください治療当日は、入浴や過度な運動などは控えていただきます。もし、注射した患部に痛みが出た場合は、鎮痛剤はできるだけ使わず、患部を冷やすことをお勧めしています。2週間は激しい運動を控えていただきますが、その後はゴルフやテニス、ジョギングなどが可能になります。
「膝の痛みが治まったかも?」「良い感じがする」といったお声を聞くのは、投与後2週間~1カ月ほどの間です。治療してからは、2週間、1カ月、3カ月、半年と、定期的に受診していただきますが、筋力強化が変形性膝関節症の進行を遅らせるのに有効であると分かっているため、同時に脚の筋力トレーニングにも取り組んでいただきます。基本的にはウォーキングなど緩やかな運動を、習慣づけることがお勧めです。APS療法を受けたいと思っている方へ先生からメッセージをお願いします従来の保存的な治療ではなかなか効果を得られない方や、できるなら手術を受けたくないという方は、新しい選択肢としてご検討いただきたいと思います。副作用が少なく身体への負担がほとんどなく、日帰りで受けられたり、早期にスポーツに取り組めたりと、多くのメリットが期待できます。
ただし、再生医療と言われていますが、軟骨が再生して変形性膝関節症が完治するというものではなく、あくまでも炎症や痛みを抑えて、その方の活動性向上をサポートするための治療です。自由診療ですので、通常よりも高額な費用になってしまうなど、事前に、メリットやデメリットなどについて医師から詳細な説明を受け、その上で患者さんご本人がしっかり納得してから、受けるか受けないかを決めていただいたほうが良いと思います。
APS療法を受けられる医療機関は、国内でも増えてきています。気になる方は、専門医にご相談ください。
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