再生医療現場レポート
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CHAPTER 01再生医療とは「細胞治療」
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CHAPTER 02整形外科の再生医療とは
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CHAPTER 03PRP(多血小板血漿)療法とは
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CHAPTER 04整形外科分野の再生医療の今後の展望
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プロスポーツ選手がひざやひじの靭帯損傷などをPRP(多血小板血漿)療法で治療したという報道がされたりと、最近注目されているようですが、PRP療法とは何ですか?
PRP分離イメージ
PRP(多血小板血漿)治療とは、患者さん自身の血液に含まれる血小板などの血球成分を利用してケガや病気で傷ついた組織などの治癒を目指す再生医療です。PRP療法では、患者さん自身の血液を採取し、遠心分離によって血液中から血小板を多く含むPRP(多血小板血漿)を抽出してそのまま患部に注射します。すでに欧米では、スポーツ選手を中心に一般的な治療法になっています。
日本では、PRP療法は、皮膚科で皮膚潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)などの治療に、歯科で歯肉の治療や歯槽骨(しそうこつ)の再生などに用いられてきました。整形外科では、2000年代に入ってからスポーツ選手の肉離れや靭帯、腱などの損傷、変形性膝関節症などで注目されてきた治療法です。
例えば、変形性膝関節症のひざの痛みに対して、運動療法やダイエット、痛み止め薬の内服などの次の治療の選択肢として、ヒアルロン酸やステロイド剤などによる関節注射があります。この関節注射にもう一つ選択肢として加わったのがPRP療法だと捉えてよいと思います。PRP療法は、安全な治療法なのでしょうか? どんな症状の改善に向いていますか?ひざの痛みの改善を示すグラフと
痛みを測定するメジャー当大学で実施した変形性膝関節症の患者さんに対する臨床試験では、重篤な合併症は発生せず、安全に行えました。さらに、PRP療法は、再生医療法が適用されますので、安全性は担保されていると思います。また、医療機関を選択するときに、再生医療の研究に取り組んでいる大学病院や、研究機関と連携している医療機関であること、日本再生医療学会の認定医がいるといったことも安全性の目安になると思います。
症状の改善については、先の臨床試験で10人中8人の方がひざの痛みが半減以下に改善しており、PRP療法の有効性については、今後、さらに確認していくことを考えています。PRP療法は健康保険が使えますか?PRP療法には健康保険は使えません。今後、研究が進んで明確な有効性が検証されれば、将来的には健康保険で行える治療になる可能性はあると思います。PRP療法の治療費については、実施している各医療機関に直接お尋ねください。
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